利用事例一覧に戻る

築島中詰材料(白鳥大橋下部工)

概要

 平成10年6月13日に開通した室蘭市の白鳥大橋には、下部工築島中詰材としてフライアッシュを大量に用いたフライアッシュスラリーが利用されました。中詰材には砂または土砂を使用するのが一般的ですが、仮締め切り工等が大規模となり不経済になる等の理由から固化自立する当材料が採用されました。
 フライアッシュスラリーは、苫東厚真発電所から発生するフライアッシュと現場近傍から入手した火山灰を絶乾比重で7:3の比率で混合し、それに数%のセメントを添加して、海水で混練したものです。


特徴

 フライアッシュスラリーの特徴を土砂類と比較すると次のとおりです。

1.側圧が小さく鋼管矢板の剛性を軽減できる
2.軽量でかつスベリ抵抗を大きく期待できるため地盤改良範囲を軽減できる
3.不等沈下等の影響が少なく築島全体の安定性が高められる
4.中詰材料としての工費は増すが、築島工全体の工費でとらえると安価となる

フライアッシュスラリー中詰工 平成元年1月
フライアッシュスラリー中詰工 平成元年1月

施工方法

 築島工断面図を図-1に、打設システムを図-2に、混練および打設平面図を図-3に示します。
 フライアッシュスラリーは、桟台上に設置したバッチ式プラントで混練し、アジテータを経由してスラッジポンプで圧送されます。水中打設は先端部に空気弁を設けたグラウト方式を採用しています。
 フライアッシュは、飛散防止のため発電所で加湿し、フレキシブルコンテナーパック(2.5t)に詰めて供給されます。


図-1 築島工
図-1 築島工

図-2 打設システム
図-2 打設システム

図-3 混練および打設平面図
図-3 混練および打設平面図

施工規模

フライアッシュスラリー 中詰工約110,000m3
フライアッシュ量(w=15%) 約81,000t
供給方法 フレコンパック(2.5t)セミトレーラ輸送

設計条件

1. 設計強度qu=0.4N/mm2
2. 配合強度qu=1.1N/mm2(材令91日)

配合

配合の一例

施工結果
(品質)

図-4 スランプ
図-4 スランプ

図-5 一軸圧縮強度
図-5 一軸圧縮強度


施工結果
(鋼管矢板
の計測)

 図-6はフライアッシュスラリー打設に伴う鋼管矢板に作用する側圧の経時変化を示したものであります。
 この図から打設中において発生した側圧は、打設が完了して約2時間後より消失過程域に至り、約15時間後には消失し、スラリーが固化自立していることが判ります。

築堤ボーリングコア写真(平成10年度施工箇所)
図-6 側圧の経時変化

参考資料

1)白鳥大橋築島工における石炭灰スラリーの利用について
(土木学会北海道支部論文報告集、平成元年度)
2)白鳥大橋築島中詰材(石炭灰スラリー)の配合試験
(地盤工学会北海道支部技術報告集 第28号、昭和63年2月)
3)白鳥大橋主塔基礎について
(第32回北海道開発局技術研究発表会論文集)
4)白鳥大橋第4橋脚下部工事パンフレット
(清水・鹿島・菱中共同企業体)