軽量盛土(岩見沢市野球場)
概要
岩見沢市野球場の建設工事に、軽量盛土材としてクリンカアッシュが採用されました。
建設工事場所は、泥炭層と沖積シルト層から構成される非常に軟弱な地盤で、軟弱地盤対策を必要とする状況でした。
軟弱地盤に野球場を建設する場合は、盛土材の自重による沈下、排水不良、不等沈下による不陸発生等の対策に効果的な材料です。
特徴
特徴クリンカアッシュは粒子が孔隙構造であり砂状であるため、排水性に優れしかも比重が一般的な砂に比べ軽量であるという特徴を有しています。そのため、軟弱地盤の改良や排水・造成・整地など地盤改良・土壌改良材として用いられてます。
透水係数(変水位)
4.56×10-3〜1.00×10-2(cm/s)
4.56×10-3〜1.00×10-2(cm/s)
密度
1.924〜2.005(g/cm3)
1.924〜2.005(g/cm3)
コスト
従来工法(砕石を利用)と比較し、20%のコストダウンが図られました。
従来工法(砕石を利用)と比較し、20%のコストダウンが図られました。
完成した野球場
施工方法
【造成工事(基盤整地)】
クリンカアッシュを搬入後、ブルドーサ(3t級)で敷均し、敷均し振動ローラーで転圧します。
【グランド舗装工事】
路床はブルドーザ(3t級)および人力で不陸整正を行い路盤はクリンカアッシュを搬入後、ブルドーザ(3t級)および人力で敷均し3t級ローラにて転圧します。
図-1 施工分割図
造成工事・排水工事・舗装工事については、飛散防止のためグランド面を3分割し施工面積を少なくしました。
施工規模
・野球場グラウンド面積 : 14,280m2
・クリンカアッシュ使用量 : 8,400t
・使用クリンカアッシュ : 奈井江発電所
設計条件
1.クリンカアッシュ地盤の締固め度が規定値85%以上であること
(歩道部の下層路盤の規格値を準用)
(歩道部の下層路盤の規格値を準用)
2.砂と同程度の透水係数であること(目安値10-3cm/s程度)
3.グランド造成中および造成後のクリンカアッシュ地盤からの排水が、水質汚濁防止法に基づく排水基準値を満足すること
施工結果
1.クリンカアッシュを敷均し転圧後、砂置換法によりクリンカアッシュ地盤の締固め密度を測定した結果、締固め度の平均値は86.2%となり、規定値の85%以上であることを確認しました。
2.搬入されたクリンカアッシュの透水試験結果は、3.07×10-3〜2.26×10-2cm/sであり、平均値8.79×10-2cm/sとなり目安とした10-3cm/s程度が確保されました。
環境影響
事前試験として、
・クリンカアッシュの環境に対する安全性の確認のため、溶出試験を実施し、問題のないことを確認しました。
・野球場設計緒元の内、クリンカアッシュ層の厚い内野グランドと同じ層厚のモデル実験層を作成して、アルカリ分(pH)の溶出について降雨を想定した溶出試験を時系列で調査しました。その結果、浸出直後からpHは水質汚濁防止法の排水基準5.8〜8.6に適合し、ほぼ一定に推移することが解りました。
図-2 モデル実験層