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石炭灰固化盤(苫東コールセンター)

概要

 苫東コールセンターの貯炭場増設工事において、スタックリクレーマー道床基盤と貯炭場基面にフライアッシュ・水・セメントを混合し、味噌状にした材料で固化盤を造成しました。


特徴

・造成材料は味噌状(固練りスラリー状)で使用しています。
・粉体状で施工する場合に比べて約40%のセメント量の節約
・粉体状の施工では、1回の施工は30cm厚が標準ですが、一度に75cm厚の施工が可能です。(スタックリクレーマー道床)
・25cm厚以下の施工では、アスファルトフィニッシャを使った効率的な施工が可能です。(貯炭場基面)

中央が施工中の道床固化盤(左側は既設貯炭場)
中央が施工中の道床固化盤(左側は既設貯炭場)

施工方法

【道床固化盤】
 施工は、幅16mの両側からバックホウ(0.7m3)4台で打設し、1打設の延長は21m、打設高は75cmの2層、日施工量は420m3でした。形態は、テーブルフロー試験で14±1cmで管理し、表面の仕上げはバックホウのバケットで味噌状の表面を上下に揺らして波立たせることで平坦性が確保されます。
【貯炭場固化盤】
 施工は、材料の形態が味噌状(半流動性)であることから、貯炭場の2%横断勾配を確保するために、施工性や平坦性の優れているアスファルトフィニッシャ(敷幅3〜6m)を選定し、スクリューフィーダ(横送り)を延長する改造をして使用しました。形態は、ダンプアップが出来るようにテーブルフロー試験で18±2cmと道床固化盤より柔らかめに管理し、打設は、高さ0.25mの1層、幅は1区画の半分で5〜6m、施工延長は平均で150mを確保しました。

中央が施工中の道床固化盤(左側は既設貯炭場)
改造アスファルトフィニッシャによる貯炭場固化盤施工状況
改造アスファルトフィニッシャによる貯炭場固化盤施工状況
道床固化盤施工状況
道床固化盤施工状況

施工規模

道床固化盤(12m×500m×1.5m×2条)     施工量 19,215m3
貯炭場固化盤(60m×520m×0.25m×2面)  施工量 14,157m3


設計条件

設計強度    道床基盤   1.47N/mm2    (材齢91日)
        貯炭場基面  0.59N/mm2    (材齢91日)


配合

 味噌状(固練りスラリー状)の形態では施工実績が無く、配合および評価の方法が確立されていないため、本施工における「配合設計と固化盤検査」は、「改良地盤の設計及び品質管理指針・日本建築センター」を参考にしました。
 室内配合強度は、次の条件を考慮して安全側になるように配慮しました。

・施工実績のない新しい形態であること
・フライアッシュの種類によって強度発現が多少変化すること。
配合の一例

混合

 既存のプラントでは、味噌状の形態の混合が出来ないことから、プラントの改良を行いました。主な改良点は次の通りです。

・加水設備(40t/h)の設置
・湿灰の水分量を測定するための赤外線水分計の設置
・フライアッシュ(湿灰)を一定容量で切り出すためのインバータ制御式ホッパーの設置
・撹拌効率を向上するための2次ミキサの設置

施工結果

 セメント量130kg/m3で施工した道床固化盤の現場平均強度は現場配合強度を大きく上回っており、現時点で得られている現場強度の24データ(5灰種)は全て合格しています。


味噌状の
強度特性

 室内における一軸圧縮強度の伸び率を「味噌状」と「普通コンクリート」で比較すると、91/28の伸び率が普通コンクリートの約1.2倍に対して味噌状は平均で2.0倍と大きく、コンクリート用フライアッシュJIS A 6201の規格外品でも灰種に係わらず同様の傾向にありました。
 これは人工ポゾラン材であるフライアッシュを母材料としているため、セメントの水和反応より遅く始まるポゾラン反応によって、材齢28日以降の強度が大きく伸びたと考えられることから、味噌状の練り上がり形態でフライアッシュを利用する場合は、設計材齢を28日より長期に設定したほうが経済的に有利になると言えます。


参考資料

1)(財)日本建築センター 建築物のための改良地盤の設計及び品質管理指針、1998,3